厚労省が「日本人のための食事ガイド(仮称)」の作成方針案を提示

厚労省のWGが2026年9月30日の第2回で、日本人のための食事ガイド(仮称)の作成方針(案)とスケジュール(案)を示しました。対象・根拠の扱い・今後の流れを整理します。
公的機関・公式資料などの一次情報と照合して作成しています。このサイトについて
厚生労働省は2026年9月30日、「日本人のための食事ガイド(仮称)ワーキンググループ」の第2回会合を開きました。会合の資料は厚労省の会議ページに掲載されています(2026年10月12日確認)。ガイドは、一般の人が生活習慣病の予防に向けて、日常の食生活で健康的な食事を実践しやすくするための基本的なポイントを、分かりやすく示すものとされています。この記事では、公表された作成方針(案)と今後のスケジュール(案)を整理し、運動やダイエットを始める人が押さえておきたい点をまとめます。
ニュースの概要
厚労省の資料によると、ワーキンググループ(WG)は健康・生活衛生局長が関係者を集めて開くもので、事務は健康課栄養指導室が担当します。開催要綱では、疾病との関連に着目し、そのリスクの低減に資する健康的な食事の内容や適切な摂取量などを分かりやすく示した「日本人のための食事ガイド(仮称)」の在り方を検討することが目的とされています。構成員は大学・研究機関の研究者や、日本医師会・日本栄養士会の役員など11人で、任期は令和8年7月23日から令和9年3月31日までです。第1回は7月23日、第2回は9月30日(オンライン、9時から11時)に開かれました。
第2回の議事は「日本人のための食事ガイド(仮称)作成について」で、構成員4人が資料を提供しました。健康寿命延伸のための提言の作成手順、栄養疫学研究の解釈、栄養素の視点から見た適切な食事、「食の階層構造」の考え方です。あわせて、事務局が「作成方針(案)」と「作成スケジュール(案)」を示しました。
何が変わるのか
ガイドの目的と対象
作成方針(案)では、食事は短期的な観点よりも、毎日の積み重ねが疾病リスクにつながり得るという長期的な観点でまとめることが重要とされています。対象者は、原則として健康な成人です。生活習慣病などの危険因子があっても、おおむね自立した日常生活を営む人(保健指導レベルの人)を含みます。医師や管理栄養士による個別の栄養管理が必要な人への、疾患別の食事療法は扱わないとされています。
根拠の使い方
ガイドは科学的根拠に基づいて作ることを基本とし、情報源は原則として「健康日本21(第三次)」、「日本人の食事摂取基準」、「疾患横断的エビデンスに基づく健康寿命延伸のための提言(第一次)」、および構成員が示す文献情報などです。精査にあたっては、研究ごとに対象者や食事調査の方法が違うこと、食物摂取頻度調査法は集団内の順位づけには有用でも個人の絶対的な摂取量の推定には測定誤差を伴う場合があること、海外の文献は日本人の摂取量との差の確認が必要であることが留意事項として挙げられています。
構成のイメージ
ガイドの構成は、まず健康的な食事の実践に関する総論を示し、その上で、生活習慣病予防に向けて多量摂取に注意したい食品や、十分な摂取を心掛けたい食品などを整理する順序とされています。ガイドのイメージとして、「日々の食事の積み重ねで、疾病の発症リスクを減らすことができる」「食事の改善で必ず疾病を予防できるわけではないものの、日々の食事を見直すことも大切」といった方向の記述が示されています。特定の食品の摂取について疾病リスク低減の観点から情報提供できる場合は、科学的根拠と限界を含めて、コラムの形で書く想定とされています。作成方針(案)の記述イメージは空欄が多く、具体的な食品名や数値は、この資料ではまだ示されていません。
今後のスケジュール(案)
スケジュール(案)では、WGの開催は4回程度です。第3回で報告書の骨子(案)、第4回で報告書(案)と参考資料の作成の方向性(案)を議論する予定とされています。図(イメージ)では、WGが11月ごろまで、食事ガイドの作成が11〜12月ごろに置かれ、その後、ライフステージ別のコンテンツや指導者向けコンテンツなどの参考資料の作成につながる流れが示されています。第3回・第4回の開催日や、ガイドの公表時期は、資料には書かれていません。
読者への影響
- 運動やダイエットを始める人: 現時点で、ガイドの具体的な内容(食品の摂取量の目安など)は決まっていません。すぐに食事を変える必要が生じる発表ではありません。
- 食事の情報をネットやSNSで集めている人: 作成方針が、研究ごとの条件の違いや測定誤差に留意するとしている点は、情報の見方の参考になります。1つの研究や1つの食品だけで効果を決めつけない姿勢に通じると、筆者は読みました。
- 持病のある人・医師の管理を受けている人: ガイドは個別の栄養管理を必要とする人への疾患別食事療法を扱わない方針です。診断や治療を受けている場合は、主治医や管理栄養士の指示が優先されます。
確認すること
- 厚労省の会議ページ(出典1)で、第3回以降の開催案内と資料が掲載されたかを確認する。
- 現時点の食事・運動の基準は、「日本人の食事摂取基準」や「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」など、すでに公表されている資料で確認する。作成中のガイドの内容を、確定情報として扱わない。
- 減量や食事の見直しを始める前に、健康診断の結果や持病がある場合は、かかりつけ医や保健センターなどに相談する。
筆者の見解
私見では、今回の作成方針(案)で最も実用的なのは、海外の文献を参照する際に「日本人の一般的な摂取量等との乖離」を確認するとした点だと考えます。運動やダイエットの情報は、海外の研究をもとにした数値がそのまま紹介されることが多く、日本人の普段の食事量を前提に読み直すという視点は、ガイドの完成を待たずに使えるはずです。
一方、ガイドは健康な成人の生活習慣病の一次予防が対象のため、運動量に応じた細かな摂取量の目安までは、期待しすぎないほうがよいと考えます。第3回で議論される予定の報告書の骨子(案)で、「多量摂取に注意したい食品」「十分な摂取を心掛けたい食品」がどこまで具体的に示されるかが、運動する人にとっての使いやすさを左右するとみています。
出典(一次情報)
- 第2回 日本人のための食事ガイド(仮称)ワーキンググループ(厚生労働省)
- 資料2 日本人のための食事ガイド(仮称)の作成方針(案)(厚生労働省、2026年9月30日)
- 参考資料2 日本人のための食事ガイド(仮称)の作成スケジュール(案)(厚生労働省)
- 参考資料1 日本人のための食事ガイド(仮称)ワーキンググループ開催要綱(厚生労働省)
2026年10月12日時点の情報です。
本記事は医療・健康に関する一般的な情報提供を目的としており、診断・治療の代わりにはなりません。持病のある方、妊娠中・産後の方、体調がすぐれない方は、運動や食事の変更前に必ず医師にご相談ください。痛み・めまいなどを感じたときは中止してください。