令和7年度体力・運動能力調査を公表、40歳代の体力低下が目立つ

スポーツ庁が令和7年度の体力・運動能力調査を公表。60歳代・70歳代で向上する一方、30〜40歳代女性や40歳代男性で低下傾向が見られます。要点を整理します。
公的機関・公式資料などの一次情報と照合して作成しています。このサイトについて
ニュースの概要
スポーツ庁は 2026年10月11日、「令和7年度体力・運動能力調査」の結果を公表しました。この調査は昭和39年(1964年)から毎年行われているもので、今回は新体力テストのデータを使い、年代別の体力合計点の過去25年間の推移と、運動部・スポーツクラブへの所属や運動習慣と体力の関係を分析しています。結果として、40歳代男性と、30〜40歳代女性を中心に、子育て・働き盛り期にあたる 20〜50歳代で体力の低下傾向が見られた、とスポーツ庁は整理しています(20歳代・50歳代は、長期的には上昇しているものの近年はやや低下、という内容です)。
運動を始めたい人にとって、「自分の年代では何が起きているのか」を公的な調査で確かめられる資料です。運動を始める前の確認事項は、運動前の体調チェック|医師に相談する人と中止のサインで整理していますので、あわせて読んでみてください。
何が変わるのか
調査の概要
- 調査期間: 令和7年5月〜10月(小・中・高校生は 5月〜7月)
- 調査票の回収: 標本数 74,194人のうち 60,213人(回収率 81.2%)
- 対象: 青少年(6〜19歳)、成年(20〜64歳)、高齢者(65〜79歳)。握力、上体起こし、長座体前屈などの種目で測定する(種目は年代によって異なる)
主な結果(スポーツ庁の概要から)
- 年代別の体力合計点(平成13年度を 100% とした 25年間の推移): 男女とも 60歳代・70歳代で上昇している。男子 60歳代は令和7年度に 114.1%、女子 60歳代は 118.2%
- 一方で、40歳代は低下している。男子 40歳代は令和7年度に 98.8% と平成13年度を下回り、女子 40歳代は 93.6%(6.4% の低下)。女子 30歳代も長期的な低下傾向がある
- 20歳代・50歳代は、平成30年度ごろまでは向上傾向だったが、その後はやや低下している(男子 20歳代 103.0%、50歳代 104.1%。女子 20歳代 103.2%、50歳代 104.2%)
- 最近 10年間の傾向(成年): 過半数の年代で低下傾向だったのは、男子が握力と立ち幅とび、女子が握力・長座体前屈・立ち幅とび。合計点は多くの年代で男女とも横ばいだが、40歳代女子ではほとんどの項目と合計点で低下傾向
運動・スポーツとの関係
- 分析対象のすべての年代・男女(12歳、15歳、19歳、25〜29歳、35〜39歳、45〜49歳、65〜69歳)で、運動部やスポーツクラブに所属している人の体力合計点が、所属していない人を上回った(12〜19歳は「運動部や地域スポーツクラブ」、25歳以上は「スポーツクラブ」への所属。令和7年度の差は、12歳の女子で+9.1点、25〜29歳の女子で+6.3点、65〜69歳の男子で+1.7点など)
- 分析対象のすべての年代・男女で、週 1日以上運動・スポーツをしている人の「総合評価 C 以上」の割合が、週 1日未満の人を上回った
- 週 1日以上の実施率は、12歳では高い水準だが、19歳で大きく低下する。女子の 35〜39歳、45〜49歳では、週 1日以上の割合も C 以上の割合も低下傾向にある(男子の同じ年代では、実施率は上昇している)
スポーツ庁は、この結果を第4期スポーツ基本計画に向けた取り組みにつなげるとしています。具体的には、地方公共団体と連携して運動に取り組む企業への支援、学校体育館など身近な施設の利活用の拡大、女性向けの集団プログラムの充実、妊娠期・産後の運動の継続の推奨などが挙げられています。
読者への影響
影響があるのは、特に次のような人です。
- 30〜40歳代で、仕事や子育てで運動の時間が取りにくい人(とくに女性)
- 20歳代や 50歳代で、運動の習慣が途切れがちな人
- 運動を始めたいが、何から手をつけるか迷っている人
注意したいのは、この調査は集団全体の傾向を示すもので、個人の体力や健康状態を判定するものではない点です。「自分の年代は低下している」と知っても、それだけで自分の体に何が起きているかは分かりません。また、調査で「運動習慣のある人のほうが体力合計点が高い」という結果が出ていても、運動をすれば必ず体力が上がると保証するものではありません。持病がある人や体調に不安がある人は、運動を始める前に、かかりつけ医などに相談してください。
確認すること
- スポーツ庁の公表資料で、自分の年代・性別の項目を原文で確認する。
- 自分の 1週間の運動習慣を振り返り、「週 1日以上」運動できているかを見る。この調査で比較に使われている線引きは「週 1日以上」と「週 1日未満」。
- 市区町村や職場の運動プログラム、近くのスポーツ施設の利用方法を調べる(時間が取りにくい人は、身近な場所から探す)。
- 調査の結論ではなく一般的な目安として、握る・体を前に曲げる・跳ぶといった、低下傾向が示された種目に関わる動きは、無理のない範囲で、短い時間から試す。痛みや違和感があるときは中止する。
- 妊娠中・産後の運動は、医師や助産師などに確認したうえで行う。
筆者の見解
今回の結果で見逃したくないのは、「運動を始めるのが難しい時期」に体力の低下が重なって見える点だと考えます。調査では、運動部やスポーツクラブへの所属率が 19歳で大きく下がり、女子の 35〜49歳では週 1日以上の運動の実施率も下がっています。スポーツ庁自身が、「プライベートでの時間確保が困難」な世代として、職場や身近な施設での運動機会、女性向けの集団プログラムに力を入れるとしている点を踏まえると、気合や根性の問題というより、時間と環境の問題として読む方が実態に近いと考えます。
そのため、運動を始める読者には、いきなり長い時間のトレーニングを目指すのではなく、短い時間でも続けやすい形を選ぶことをおすすめします。ただし、「週 1日以上」は調査の区切りであって、推奨される運動量ではありません。また、運動したから体力が高いとは限らず、因果関係までは調査から言えませんので、あくまで目安として使ってください。
出典(一次情報)
2026年10月11日時点の情報です。
本記事は医療・健康に関する一般的な情報提供を目的としており、診断・治療の代わりにはなりません。持病のある方、妊娠中・産後の方、体調がすぐれない方は、運動や食事の変更前に必ず医師にご相談ください。痛み・めまいなどを感じたときは中止してください。